幾何交差と表面性状

データム・表面性状について

データムについて

「データム」とは、位置を決定するために用いる基準を指す言葉です。
「形体の姿勢偏差、位置偏差、振れなどを決めるために設定した理論的に正確な幾何学的基準」と定義されています。
製品の加工や寸法測定の際の基準となります。

製品を製作するにあたって、適切な設計・加工・製作を行うためには、図面が必要です。
データムは、この図面のなかで設計・加工・製作の作業性や機能を考慮した共通基準とし設定されます。

データム記号の表し方

基準とすべき面(あるいは線や点)に対して、図面上で下記のデータム記号を付けます。
データム記号を表す三角記号には白抜きと黒塗りの2種類がありますが、どちらを使っても問題ありません。

[画像]データム記号の表し方01

図面にデータムを指示した場合、その面を定盤などに押し当て、それを基準に測定することを意味します。
これは、より精密な形状を持つ定盤などと接することで安定させ、その定盤などを基準に置き換えて計測を行うためです。
このような、定盤などの代替基準となるものを「実用データム」と呼びます。

"[画像]データム記号の表し方02

表面性状について

工業製品の表面に求められる条件は多く、色彩・光沢・美観・耐食性・塗装膜の強さなどさまざまです。
特に、加工表面の凹凸や筋目などは、製品の機能や組み立てた機械の性能に大きく影響するため、重視されます。

「表面性状」という用語について
JISでは従来、加工表面の凹凸・筋目などを総称して「面の肌(surface texture)」と呼んでいました。しかし、工業分野ではあまり広く普及しておらず、現在では「表面性状」という用語に変更されました。
なお、規格名につけられているGPSは「Geometrical(幾何学上の)・Product(製品)・Specifications(仕様書)」の頭文字です。そのため、日本では「製品の幾何特性仕様」という用語に訳されて使われています。
GPSの企画
JIS規格番号 JIS規格名称
JIS B 0031:2003 製品の幾何特性仕様(GPS)表面性状の図示方法
JIS B 0610:2001 製品の幾何特性仕様(GPS)表面性状:輪郭曲線方式…転がり円うねりの定義および表示
JIS B 0631:2000 製品の幾何特性仕様(GPS)表面性状:輪郭曲線方式…モチーフパラメータ
JIS B 0633:2001 製品の幾何特性仕様(GPS)表面性状:輪郭曲線方式…表面性状評価の方式および手順

表面性状の要素

粗さパラメータ 粗さ曲線から算出するパラメータで、頭文字にRをつけて表記します(Ra,Rz,Ry など)。
面粗さを表記する方法としてはもっとも多用されるパラメータです。
うねりパラメータ うねり曲線から算出するパラメータで、頭文字にWをつけて表記します(Wa, Wz, Wyなど)。
断面曲線パラメータ 断面曲線から算出するパラメータで、頭文字にPをつけて標記します(Pa, Pz, Pvなど)。